鍵を開けてあげると、 呪いから解き放たれた白猫が言葉を話しはじめた。
『ボクの名前はハル。封印を解いてくれてありがとう。
実はボクはずっと黒猫のことを追っかけていたんだ。
ある目的があってね。
そしてさっき君のことを見つけたときに、
君なら助けてくれるかもしれないと思った。
だから朝食券を奪ってボクを追っかけてもらったんだ。
ボクは昔、人間だったんだけど
いまはこうして猫の体に魂を宿している。
人間だった頃の名前は「アベノセイメイ」。
有名人でしょう?
そしてボクの生きているときにライバルだったやつがいて、
その名は「アシヤドウマン」というだけど、
最近、黒猫が京都の街で悪さをしていると聞いて、
その黒猫こそ彼じゃないかと思ったわけ。
それで黒猫を追いかけ調べてたの。
それで確信した。
黒猫はアシヤドウマンだ。
ボクの首に封印の鍵をかけたのも、
あいつの仕業だと思う。
黒猫は何かもっと悪いことを企んでいる気がして、
それを突き止めて止める必要がある。
君にはそれができる力があると感じるんだ。
だから協力してほしい。
ボクの式神が人間として京都ブライトンホテルのフロントで働いているから行ってみて。合言葉を伝えたら調査資料を渡すよ』